2023-01-01から1年間の記事一覧

末木新「「死にたい」と言われたら 自殺の心理学」

小学生の半ばくらいに祖父が亡くなってから、ずっと死ぬことについて考えるようになった。その数年後には、いろいろあって、死にたいという気持ちを持つようになっていた。そう考えると、随分長い間、死にたいと思っている。常にその気持ちが頭をいっぱいに…

能町みね子「オカマだけどOLやってます。完全版」「トロピカル性転換ツアー」

オカマだけどOLやってます。完全版 (文春文庫) 作者:能町 みね子 文藝春秋 Amazon トロピカル性転換ツアー 作者:能町みね子 文藝春秋 Amazon 今更、一気に2冊続けて読んでしまった。 前から書いているけど、私はエッセイとか日記とかをあまり読まない。なん…

丸谷才一「闊歩する漱石」

闊歩する漱石 (講談社文庫) 作者:丸谷才一 講談社 Amazon とりあえず、夏目漱石のことだけを書いて、本が1冊成り立っているのがすごい。 私はただのミーハーな夏目漱石好きだから、彼を分析しようとなんて思わず、ただただ面白いなあ、と思って読んでいるだ…

瀬川拓郎「アイヌと縄文」

アイヌと縄文 ――もうひとつの日本の歴史 (ちくま新書) 作者:瀬川拓郎 筑摩書房 Amazon 7月に北海道の礼文島に旅行に行ったのだが、その前に読もうと思っていたのに、結局帰ってきてから読み終わった。やっぱり読む前と後では印象が変わっただろうなあ、と思…

望月昭秀、田附勝「蓑虫放浪」

蓑虫放浪 作者:望月昭秀 国書刊行会 Amazon 8月に読み終わっていたのだけれど、気付いたら10月…私もどこかへ放浪していたようだ(嘘です、暑すぎてパソコンを触っていなかっただけです)。 こんな人がいたのか、と本当に初耳だった。そして同時に、こんな人…

映画「658km、陽子の旅」

映画の真ん中くらいで、突然号泣してしまった。 東京から青森までの658kmをヒッチハイクをして辿りつく、という話なのだけれど、こう書くとまるで、アクティブで前向きな人の話に見えてくるから不思議なものだ。まったくアクティブでも、前向きでもない、ほ…

川端康成「川端康成異相短篇集」

川端康成異相短篇集 (中公文庫 か 30-7) 作者:川端 康成,高原 英理 中央公論新社 Amazon この人の「掌の小説」を2、3回は読んでいるから、最初の話は何度か読んでいるはずで、読むたびに、私はこういう話が書きたいのだよな、と思う。思っては、なんとなく…

宮地尚子「傷を愛せるか」、望月昭秀「縄文人に相談だ」

だいぶ前に読み終わっていたのに、書き残しておくのを忘れていた。 ここ数か月、自分で書いた小説を読み返すということをしていたので、しばらく小説は読みたくないなあと思って(無意味に凹む可能性があるから)、手にした2冊。まったく毛色が違うように見…

北大路公子「いやよいやよも旅のうち」

読み終わるのに、随分と時間がかかってしまった。 何故かというと、ただただ旅をするわけではなく、タイトルどおり、行く先々で嫌なことをさせられる、という本だからである。私自身、嫌なことをさせられるのが、ものすごい嫌いなのだけれど、それと同じくら…

映画「コンパートメントNo.6」

映画が始まった瞬間に、わーいい映画だな、と久々に思った。色の付いた画面に文字が並んでいるだけなのに、色合いもフォントも好みなのだから、映画の内容も好きに決まっている、というその予感は当たっていた。 基本的にはずっと長距離列車に乗っている2人…

映画「美女と野獣」「詩人の血」

ジャン・コクトー映画祭なるものが上映されていて、なんとなく観にいってみることにした。自分の母親が昔に見て、いたく感動したというのを聞いていたから、どんなものなのか気になっていたのだ。いやはや、とんでもなかった。 「美女と野獣」はディズニーの…