映画「美女と野獣」「詩人の血」

ジャン・コクトー映画祭なるものが上映されていて、なんとなく観にいってみることにした。自分の母親が昔に見て、いたく感動したというのを聞いていたから、どんなものなのか気になっていたのだ。いやはや、とんでもなかった。

 

美女と野獣」はディズニーのアニメにもあるし、新らしめの実写映画も観たことがあって、ストーリーの流れはだいたいわかっていたけれど、作る人が違うと、こうも見え方が変わるのか、と驚く。なんというか、かなりホラーな感じ。白黒のせいもあったかもしれない。可愛いとか綺麗とかを突き抜けて、怖さがある。美しすぎるときに感じる、あの感覚に近い。ラストシーンも、あれ、これってハッピーエンドじゃないのでは、と考えてしまう。主人公が見ている夢のようにも思えるし、本当は2人とも死んだのではないかとも思える。野獣が人間になったときの顔のことを考えると、これまた違う結末にも思える。とにかく、なんだかハッピーに思えない自分が、だいぶ汚いように感じる。

1日に2本観るのはつらいかしら、と思いつつ、母も一緒に観たいということで「詩人の血」も観にいく。1人で観なくてよかった…。私には何もわからなくて、観終わったあとに、つい笑ってしまうくらいだったから、1人でニヤニヤしていたら、ただの危ない人だった。ストーリーと呼ぶべきものはなく(あるのかもしれないけど)、じっと画面を観て、音楽に聴きいる。たぶん、詩の世界観を映像にしている、ということだと思うのだけれど、この人の世界観、とんでもないな。昔、「心象風景」という小説を書いたことがあるのだけれど、そういう、頭の中に流れていくものを映像化しているのかなあ。でも、ストーリーのある小説ではなくて、詩を映像化してみようとするところに、この人らしさがあるのかもしれない。
とりあえず、衣装とか小物とか、画面いっぱいに広がるすべてが美しかったので、満足した。