能町みね子「オカマだけどOLやってます。完全版」「トロピカル性転換ツアー」

今更、一気に2冊続けて読んでしまった。

 

前から書いているけど、私はエッセイとか日記とかをあまり読まない。なんというか、このもやもやとした気持ちを伝えきれないと思うのだけど、その人の日常生活を垣間見たいと一切思わない(言い換えれば見てほしくないということかもしれない)から。でも、公に発表されている本だから読んでもいいってことなんだよなあ、と思いつつ、読んで知ることの怖い感じも拭えず、読む読まないを行ったり来たりして、よくわからないタイミングでついに読んだ。そして、すぐ読みおわる。結局知りたかったんじゃん、と自分に呆れる。

 

さらっと面白く書かれているけれど、ところどころでつらい気持ちにもなる。なんでなんだろう。でも、一番つらくなったのは持病のくだりのところで、身内が心臓病で亡くなったからであった。今もこの人が生きていてよかった。読書って、自分の体験と主観を通して、感じるものが限定されるのかもしれない。

 

私は女子校に通っていて、そこで性別がない状態みたいに生活したせいか、性別とかなければ生きやすいのに、とずっと思っているし、いまだに自分の位置取りがわからないでいる。曖昧に生きたい。

 

生きていることも、どんなふうに生きられるかも、運なのかもしれない。そんなことを書くと、いろんな人に怒られそうだけど。でもこの人は、行った先々でいい人に出会える運があるんじゃないかなあ、と思える本で、それは努力して得られるものじゃないし、やっぱり運じゃないのだろうか。人って、どうしても、他人を羨ましがってしまうものだよなあ。