茨木のり子「倚りかからず」

 

本屋に行って、棚の間をぐるぐると巡り、ただぼんやりと眺めているだけなのに、時々、今読むべき本を何故か買って帰る、ということが起きる。ものすごく不思議で、少し怖い。でも、だから、本を買ってしまうような気がする。

 

この本も、そうして自分の元にやってきた。様々なできごとや、経験や、過去と呼ばれるものを、自分の中にためて、浮かび上がってきた何かを、削ぎおとした言葉で、スッと真っすぐに突き出す。研ぎ澄まされた言葉を、読む私がどう受けとめるか。鋭すぎて、受け入れられない人もいるかもしれない。真っすぐな言葉の表現は、読む側も、書く側も、本当は怖いし、傷つくこともあるような気がするのに、この人はそれでも真っすぐに書いてくる。

 

表題作が、特に突き刺さって、しみる。今のこの瞬間に、自分を鼓舞したい。