川端康成「川端康成異相短篇集」

この人の「掌の小説」を2、3回は読んでいるから、最初の話は何度か読んでいるはずで、読むたびに、私はこういう話が書きたいのだよな、と思う。思っては、なんとなくそんなような話を書いてみて、やっぱり全然違う、と落ちこむ。そんなことは当たり前で、この人が見えるものと、私が見えるものはまったく異なっていて、私は私に見えるものでしか、文章を書けない。じゃあ、私が見えているもので、いったい何を書けるのだろう、とこの人の文章を読むたびに思っている。

 

異相とタイトルされているけれど、この本も、他の本も、どれもこの人本人の一面であると思うし、本心でもあるのではないかなあ、と思う。この人の見ている現実での実感でもあって、少しだけ私の現実とも交差するから、こうして面白く読めるのではないかしら。

 

ちなみに私は「片腕」が好きすぎて、二次創作までしてみたこともある。誰にも見せないけど。