末木新「「死にたい」と言われたら 自殺の心理学」

小学生の半ばくらいに祖父が亡くなってから、ずっと死ぬことについて考えるようになった。その数年後には、いろいろあって、死にたいという気持ちを持つようになっていた。そう考えると、随分長い間、死にたいと思っている。常にその気持ちが頭をいっぱいにするわけではないけれど、それは大きかったり小さかったり、波のように私の生活を左右する。溺れそうな波が来たとき、果たしてどうすればいいのだろう。いつも悩んでいる。

 

他人から見たら、結局生きているのだし、死にたいなんて言うだけで、人にかまってほしいだけだろう、と思うに違いない。たしかに、そういう気持ちもないことはない。でも、ただもっと素直に(という言い方も変だけど)、死にたいという気持ちなのだ。だけど、そんな素直に死にたいと言いつづけるのも申し訳ないから、日常生活で口に出すことは、まったくない。

 

この本を読んだからといって、別に死にたいという気持ちが解決することはない。中高生向けの本ということで、かなり易しくわかりやすく書かれていて、自殺について冷静に向き合える。もしかしたら、冷静になって、自殺を考えることが、私には必要なのかもしれない。

 

データ上、日本人の2割から3割の人は、死にたいと思ったことがあるらしい。じゃあ、あのつらいなあと思っていた教室の中で、あと5人以上は死にたいと思っていた人がいたのだろうか。学校や塾では、死にたいなんて思ったことない、と言う人ばかりがいた気がするけれど、先にそう言われちゃえば、死にたいと言える雰囲気にはならないよなあ。死にたい人も、死にたくない人も、わかりあえればいいのだけれど、この気持ちは一番わかりあえなさそうだな、とも思う。