能町みね子「うっかり鉄道」

私はわりと鉄道に乗るのが好きなほうだと思う。新幹線で行けるところに鈍行で行ってみたり、1つの路線の始点から終点まで乗ってみたり、そのくらいのことはする。でも、ものすごい鉄道が好きなのか、と言われると、そういうわけでもなく、乗るのは好きだけどオタクというほど知識もないし、これはオタクからすごい非難をされるような部類なのでは、と考えてしまって、好きとも言いづらい。つまり、鉄道が好きなのか、と質問されたら、オタクじゃないし、好きだなんておこがましい、と答えてしまう。わりと肩身が狭い。

 

この本の冒頭で、鉄道オタクではない、と書かれていて、あれそうだったの、と読み進めていくと、いやこんなに詳しくてオタクじゃないと言われたら、ますます私は鉄道が好きだとは名乗れない。

 

でも、この本を読んだら、いろんな好きがあってもいいんだよな、と思える。最近は、自分と違うことを受け入れられない人も、自分の好きなことを押しつける人も、多い感じがして、何かを好きだと言うのも疲れてしまう。別に勝手に好きでいればいいだけなんだけども。

 

鉄道には、ちょっと好き、という人も受け入れてくれる度量があると思っている。ちょっと好きどころか、なんとも思っていない人だって受け入れる。当たり前だけど。なんとも思っていない人が沢山乗ってくれなければ、廃線になるわけだからね。

 

ど年末にうっかりこんな本を読んでしまったので、来年はどうにかいろいろ旅をしたくなってしまった。そのために、私はバスも使ってしまう。何せ、東北の地は、既に鉄道からバスへと移り変わっているところが沢山あるのだ…。