尾形亀之助「美しい街」

 

 ずっと読みたいと思っていた本。自分で詩を書くわりには、私はあんまり詩集を手に取らないのだが、これは発売したときから、読もうとずっと探していて、ようやく今になって見つかった。大きい本屋にはどこにもなくて、小さな本屋に行ったら、ひっそりと置かれていた。この本には、それが似合う気がしている。

 

装丁や文字列の並びも美しく、自分の手元にあるだけでわりと満足しかけたのだけれど、ぽつりぽつりと読んでいたら、いつ読み終わったのだったかな、というくらいすんなりと本を閉じていた。言葉の間の取り方とか、少しだけひねくれた言い回しとか、なんだか宮城県の感じがするなあ、と思いたくなってしまうのは、私が宮城県出身だからなんだろう。

 

言葉の置き方が、すとんと納得できて、読もうと思っていた自分は、間違いなかったなあ、と思う。なんとなく寂しくて、なんとなく優しい。