福永武彦 訳「現代語訳 日本書紀」

 

 だいぶ前に読み終わっていたのだけれど、バタバタしていて書くのを忘れていた。その間に、登場人物が多すぎて、話の内容もだいぶ忘れてしまった。

 

本の前半は、だいたい古事記にも似たような話があったなあ、という感じですんなり読めていたんだけれど、急に神が地に足を下した途端に、まったく神の話には感じられなくなってしまった。地位や権力や女とか、そんな血生臭い話ばかりがくり返されていく。このくり返しの中に、今の自分たちがいるのかしら、と思うと、人間を人間たらしめるものの欲深さについて考えてしまう。

 

神様について考えるとき、私たちがまず思い浮かべるのは何なのか。古事記日本書紀を読んでみると、神様に対する抗いきれない感覚が、血となり肉となり、脈々と受け継がれるように仕組まれているようにも感じる。