絲山秋子「離陸」

 

だいぶ前に読みおわっていたのだけれど、ワクチンを打ったり、休みがあんまりなかったり、そうこうしているうちに時間が経っていた。ところどころ忘れているような気がするけれど、読んだときのメモに書いてあることを写してみる。

 

今まで書いてきたものの、総まとめという感じがした。あとがきにも、昔から書きたかったというようなことが書いてあったから、今書けるすべてなのかもしれない。前からファンタジーっぽいというか、メルヘンというか、そういう話はあったから、この本もそれと地続きといえばそうなんだけれど、それよりもサスペンスっぽいというか、ホラーっぽいな、と思わされた。2010年代の空気感なのかもしれないなあ。

 

結局謎は明かされないままで、答えは読んでいる人の自由ということだろう。本というのは、そういうものなのだし。

 

この本全体に、死の雰囲気があって、読んでいる最初から、そうなるだろうなあという、つらいような気持ちになる。でも、読み進めていくうちに、私の中でも時間が過ぎていて、過ぎたぶんだけ、受け入れられるものがある。

 

離陸の順番は、誰にもわからない。離陸を待っているのか、待たされているのか、どっちなんだろうか。