川端康成「少年」

 

この年になっても、まだ新しい本が出てくる、ということがただただすごいなあ、と思って読んでしまった。

 

昔書いた日記や記録を、とにかくまとめました、というような本。少年という題名で、1人の少年にスポットを当てているようだけれど、その少年に対する自分自身(その時代、環境、周囲との関わりで生まれる感情)を主に書いているように感じる。少年の話のようでいて、少年であった自分の話なのかなあ。

 

小説ではないと思うし、かといってエッセイというには、本心があまり見えてこない。たぶん嘘でも作り話でもないし、真実を書いているのだろうけど、何故か本当のところは書いていないように思う。

 

しかし、少年に対する気持ちや行動よりも、少年の実家に行ったときの記録が、今になってはものすごいものなのでは、と思ってしまう今日この頃である。