難波里奈「純喫茶コレクション」

 

ブラックコーヒーを飲まないのに、喫茶店が好きだ。内装が好きとか、カップが好きとか、いろいろあるけど、そういえば、子供の頃によく喫茶店に連れていってもらっていたからかもしれない。そこはいわゆる、最近よくあるカフェとかチェーン店ではなくて、落ち着いた静かな純喫茶で、私の思う喫茶店というのは、子供の頃のあの場所なのだ。

 

そうは言っても、コーヒーが飲めないという引け目のせいか、1人で喫茶店に入ることはあまりない。出先で飲み食いするのが好きじゃない、というのもあるが。こういう本を読むと、ただただ羨ましくなる。こんなに沢山喫茶店を巡って、いいなあ。

 

この本を読み終えたあとは、ただただ羨ましがっていないで、行きたいところには行ってみた方がいい、と強く思う。喫茶店の中には永遠のように感じる時間が流れているけれど、決してその存在は永遠ではない。現に、私が子供の頃に行っていた喫茶店は、もうないのだから。