絲山秋子「ばかもの」

 

ばかもの

ばかもの

 

 読んでいる間中、一度読んでいなかっただろうか、とずっと思いながらページを繰っていたんだけど、思い出すことなく読みおわってしまった。本の内容って、そんなに忘れるものなのか…最近は特にひどい。

 

主人公が、流れるようにダメになっていく。当然のようにダメになっていく。でも、そのダメっていうのは、世間一般(主人公も含めて)が思っているダメであって、ダメになったことも含めてその人なんだけれど、ダメなところを見つけると、他人は人を受け入れなくなってしまう。むしろ、攻撃したり、排除したりしてしまう。

 

「ばかもの」とこの本の中では、1人が1人に向かって言うけれど、この本の中に出てくる人全員が、ばかものなんじゃないのかなあ。というか、生きている人全員、ばかものなんだ、本当は。