岸本佐知子「変愛小説集」

 

変愛小説集 (講談社文庫)

変愛小説集 (講談社文庫)

 

 言葉そのものの意味で、やばい人しか出てこない。やばいのに、何故か愛おしくなってしまう人たち。純粋に誰かや何かを思っていて、それが突き抜けちゃって、やばくなる。人間って、結局のところ、やばい生き物なんだな。

 

フィーリング(感情)ではなくて、パッション(情動)と呼ぶような、奥深くから出てくる気持ちのままに動くことが純、というものなのか。純を抑えるのは、理性なんだよなあ。だからって、理性的な人間が悪いわけじゃない。たぶん、ほとんどの人は理性と衝動が闘っていると思うけど、ときたまコントロールできなくなると、こんな変愛になる。変な恋愛ほど、人を楽しませるものはないかもしれない。