湯本香樹実「夜の木の下で」

 

夜の木の下で (新潮文庫)

夜の木の下で (新潮文庫)

 

 このタイトルを見ると、桜の木の下にかかっているのだろうか、とちょっと思ってしまう。内容的には、そんなことはないか。

 

久々にこの人の本を読んだけれど、やはり優しい読み心地だ。決して、この本の中に出てくる人たちが、優しい世界に生きているのかというと、そうではないのだけど、それでも優しさに満ちている。世界はいつだって優しくない面を持っているけれど、優しい人との出会いが、世界の見え方を変える。誰にでも、そういう人との出会いがあれば、と思う。人でなくても、本の中ででもいいから、出会えればいい。