映画「サンローラン」と「ひつじ村の兄弟」

先月末、何故か突然、「今年から月に一回映画館に行こう。」と思い立つ。理由もないが、決めたので、なんとか2月まで続けている。果たしてあと10ヶ月続けることができるのか、こうご期待!(いや、期待も何もないけど)

 

ということで、思い付きの第一弾は、これを観た。

SAINT LAURENT/サンローラン [DVD]

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あれ、前にもこの人の映画がなかったっけ…と思ったら、別の人が 主演しているものがあったのね。たしかに、この映画を観ただけでも、映画の題材になるような人物であり、人生ではある。観ていると、とにかく悲しい人だなあ、と思ってしまう。才能が自分を救って、滅ぼしていく。一連の流れで、最高のショーでさえ、どこか悲しいものに映る。これって映画として成功なのかは謎だけど。

 

2月は、アイスランド行きたい気持ちで、「ひつじ村の兄弟」を観てきた(残念ながら画像が出ない)。でっかい羊をもふもふするおじいさん兄弟…なんだろう、この気持ち。私ももふもふしたいわー。羊への愛も、家族への愛も同じもの、というか、羊も家族ということなのだろう。これは全体を通して、家族の話なのだよなあ。伝染病が発覚すると、すぐに地域一帯の同種の動物は殺処分となる。伝染病、伝染する、病気を持った家畜は殺す、というのは、遠くにいる人たちの言うことなのだ。合計何百という家畜を殺して悲しいというのは外側からの見方で、本当は、1頭1頭が別の命を持っていて、飼っている人はその1頭1頭をそれぞれ殺されていく。それにしても、皆が皆、着ているセーターが可愛くて、更にアイスランド行きたい欲が昂ってしまった。自然の厳しい土地で育った羊たちに会いたい。

もう1月終わりますけど

今年もよろしくお願いします。今更ですいません。

 

何をしていたかというと、先週、ロンドンに旅行に行ってきたのである。いずれ行ってみたいとは思っていたけど、案外早くその日はやってきた。ツアーに参加したので、自由行動できたわけではないけど、観光地を巡って、なんとなく雰囲気に浸れたから、よかったかなあ。とりあえず、夏目漱石ぐふふふふ、と思いながら、倫敦塔を眺めてきたよ。

 

そんな夏目夏目言っていた近頃読んだのは、

眠れる美女 (新潮文庫)

眠れる美女 (新潮文庫)

 

この本の中に入っている「片腕」である。単純に、変態である。

 

日本以外の国に行くと、何故か、日本だぞ、と思う本を読みたくなる。根っからの日本人というか、ただ単に自分以外の文化に慣れていないだけかもしれない。 

三浦しをん「舟を編む」

 

舟を編む (光文社文庫)

舟を編む (光文社文庫)

 

 流行りに乗り遅れて、今更読む。まあ、だいたいいつもそんな感じで本を読んでいるんだけど。

 

少し漫画っぽいなあ、と感じる。登場人物の性格であったり、見た目を含めたキャラクターが漫画に出てきそうだなあ、と。展開も少女漫画っぽいような、と最後まで読んでいったら、女性誌に連載されていたのね。なるほど。自分も女だからか、こういうキャラクターが立っているものを読み進めちゃうものなのかもしれない。

 

恋愛小説と見せかけての仕事小説、もしくは仕事小説と見せかけての恋愛小説。どちらに感じるかで、その人の好みがわかるんじゃなかろうか。

 

とにかく、人の熱量って際限がない。

三島由紀夫「命売ります」

 

命売ります (ちくま文庫)

命売ります (ちくま文庫)

 

 「音楽」、「金閣寺」、「潮騒」と読んできて、久々のこの人の本。今までのイメージと全然違っていたけど、私はこの本が一番面白いと感じた。

 

生と死を一直線に結んで、死の方に行ってみたり、生の方に行ってみたり。1人の中で、まったく正反対の気持ちが同居するのは、当たり前のことなんだよなあ。最終的に、これは現実なのか、はたまた主人公の虚言や妄想なのか、曖昧というか、わからなくなってしまう。でも、主人公自身が見たものや聞いたこと触ったもの、それらは真実ではあって、現実ではなくてもいい。現実ではなくて、この人は真実を書こうとしたのかもしれないなあ、なんて思った。

丸谷才一「猫のつもりが虎」

 

猫のつもりが虎 (文春文庫)

猫のつもりが虎 (文春文庫)

 

 面白いなあ。知識をひけらかすこともなく、面白いことを話せる人は、本当に貴重。どんな人にも、たぶん、自己顕示欲というか、知識を披露したい、という気持ちがちょっとはあって、それを感じた途端に面白くなくなるのだよね。人間的に面白い人が、面白い小説も書く、ということを痛感する。

 

和田誠氏の絵も、本当に好きだ。なんだろう、この安心感。