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安部公房「砂の女」

 

砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)

 

 一度読んだはずなんだけれど、本棚を探してもなくて、実は読んでなかったのだろうか。でも、既視感があったから、たぶん読んだんだろう。どこへ行ったのやら。

 

始終、怖いなあというか、気味が悪いなあというか、不安だなあ、というあんまりいい気分にはなれない話。この人の話って、だいたいそういうものだと思うけど。最初の方は、謎解きしていくような、主人公がどうやって現状を解決するかを事細かに書かれているのに、いつの間にか、主人公の心情が変化していくことにスポットライトが当てられ、あれれ、という感じ。冒頭で結論が出ているサスペンス風味の話なんだけれど、たしかに事件の話でもあるのだけれど、結論や結果まで、過程のじわじわと心情を侵していく出来事が、居心地悪い。

 

最近は、田舎暮らしを美化する感覚もあるけど、それって本当のところはどうなんだろう。土着とは果たして何なのだろう。郷土を愛する、という気持ちは、本当のものなんだろうか。人は簡単に(もしくは強制的に)変化するんじゃないのかしら。

 

ちなみに、なんで読み返そうと思ったかというと、spoken words projectという来期の服のテーマが、この話らしい、と聞いたからである。どうなっているのかなあ。