津村記久子「君は永遠にそいつらより若い」

 

君は永遠にそいつらより若い (ちくま文庫)

君は永遠にそいつらより若い (ちくま文庫)

 

 今まで読んできたこの人の他の本とは、少し違う感じがする。これがデビュー作なのだけども。仕事の話とか、そこでのあれやこれやを書くことが多いなあ、と思っていたのだけど、この本は就職する前の人たちの話。この感じの方が、私は好きかもしれない。

 

いろいろもやもやした人たちが沢山出てくるのだけど、それぞれに思うところがあって、それぞれに自分の正しさがある。どうしても、人って自分の正しさを優先させたがる。だけど、いつの間にか、そういう正しさをぶつけることをやめて、折り合いをつけるときがくる。そういう、落ち着いてしまう少し前の話、という印象があった。

 

このタイトルは、本当に強いな、と思う。タイトルだけでも強いのだけど、本の中でこの一文が出てくる瞬間、この話とタイトルがものすごく強いメッセージを放つ。