森絵都「みかづき」

 

みかづき (集英社文庫)

みかづき (集英社文庫)

 

 あれ、いつの間にこんなエンターテイメントな小説を書くようになったの…と思ってしまった。一気に面白くざくざく読める。でも、昔のように、じんわりとくるものとか、ちょっと心が痛くなる感じとか、そういうものはこの本にはないかもしれない。まあ、私が年を取ったというのもあるよね。

 

ちょうどドラマを放送していたのだけど、全然見ていない。そのわりには、高橋一生で頭の中で人間像が結ばれてしまって、ちょっと映像が邪魔だなあ、と思うときもあった。映像化された作品に関しては、これはもうしょうがない。ドラマ化とか映画化とか、あんまり私は見ない人間なので、原作が有名になるならいいんじゃないか、と思うようにしている。

 

自分自身の状況や立場によって、思い入れが強くなる登場人物が変わるんじゃないかなあ、と思う。いまだ孫世代に近しい気持ちを感じてしまう自分は、成長がないのでは、と思わなくもない…。