ジョージ・オーウェル「1984年」

 

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

 

 1か月もかけて、ようやく読み終わった。内容のぶ厚さで言ったら、たぶん「動物農場」の方が濃かった。この話の中だと、かなり形式とか制度が凝り固まっていて、読む側もその枠に押し込まれる感じ。「動物農場」はその制度が固まる前の少しごちゃごちゃした感じが描かれているせいか、ドタバタとした喜劇として読める。でも、この本にはこの本の面白さもあるが。

 

最後の附録として書かれているニュースピークについての説明を読まないと、結構内容をとらえられない感じがある。先に附録読まないよ…。使用する言葉を狭めることで思考を狭める、というのは現代にも通じるところのように思う。みんな、略語が大好き。言葉で思考する人間に対するには、自分も多くの言葉を持つことが必要になる。だけど、思考停止する方が、楽だし、生きやすい、そんなふうな世の中に、今は見える。

 

ビッグ・ブラザーはいるようで、いない。いないようで、いる。こういう存在に支配されることを心地いいと思えるようになったら、人間は平和を手に入れるでしょう(まさかね)。