小山田浩子「穴」

 

穴 (新潮文庫)

穴 (新潮文庫)

 

 心地よさ、という点で言えば、非常に心地が悪い。人の持つ不安さ、違和感、苛立ち、みたいなものを、チクチクとつついてくる。読んでいて、清々しい気持ちには一切ならないし、気持ちが悪くなる瞬間がいくつもある。だけど、そういう不安感を拭いたくて、早く早く、いち早く読み終わりたくなる。そうして読み終わらせる力が、この本にはある。

 

なんというか、女って1人の人間として認められない世の中なのかなあ、と思ってしまう。常日頃からある嫌気が、こうして形になっているのは、またつらい。