J.D.サリンジャー「このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年」

 

 まさかの新刊(というのかわからないけど)、ということで、ついつい買ってしまった。久しぶりのホールデン。懐かしのシーモア。随分前に読んだから、すっかり内容を忘れているんだけど、ああそうそうこの人たちこういう感じだったなあ、という思いで読んだ。

 

グラース家に関してだけ言えば、もう一度既刊も読まないと、正直頭がこんがらがる。シーモアはいつも人の頭をこんがらがらせる。ハプワースの文章を、7歳のシーモアが書いたとすると、どう考えても大人びすぎている。逆に、7歳のシーモアを想定してサリンジャーが書いたとすると、あまりにもまとまりに欠けていて稚拙だ、とも言える。サリンジャーシーモアになりきれていないのでは、という気持ちにもなるし、それよりも、サリンジャー本人の気持ちが出すぎているのでは、とも思ってしまう。本人がどう思っていたのか、もうまったく知ることはできないわけだけど。

 

他の短編はひとつひとつとても美しく、この人の短編が好きだったのを思い出した。

 

ずっと禅の思想にはまっている人だと勘違いしていたのだけど、どうやら違ったらしい。ヒンドゥー教でいいのかな。