松田青子「スタッキング可能」

 

スタッキング可能 (河出文庫)

スタッキング可能 (河出文庫)

 

 人なんて代替可能のAさんでもBさんでもCさんでもある、と思わされて、つらい。かなり明るい感じで書いてあるのだけど、内容は暗いなあ。もうすぐ結婚する女、ってこんなにいっぱいいるのかしら。いるんだろうなあ。日本よりは、ヨーロッパあたりの童話っぽい感じ。

 

昔、ジェンダーについての授業を受けたことがあるんだけど、そのときに感じた、居心地の悪さ、みたいなものもあった。性別って、いろんな申込書でも履歴書でも、どんなときにでも男か女かで丸を付けなくちゃいけない。それは生物学的な性別で、ジェンダーはそれとは違って、社会的な性別のことを言うのだったかな(あまり詳しく覚えてなくてすいません)。生物として、性差は必ずある。だけど、社会的に差別があってはいけない。そういうような授業だった記憶がある。そのとおりだなあ、と思う一方で、どうしてこんなに女ということにこだわるのだろう(女の先生だった)、とも思った。こんなにも女ということを意識しなければいけない世の中、世の中が当てはめたがる女という枠組みからどうにか出ようとすること自体が、本当はものすごくいらないことなんだよなあ。でも、その女の先生は結婚していて、旧姓で仕事をし、夫はすごく理解がある、という自慢もしていて、なんかそういうところにも変な感じ、居心地の悪さを感じていた気がする。

 

そんなことを思い出すような、女の意識、みたいなものを感じる話だった。