伊藤計劃「ハーモニー」「The Indifference Engine」

 

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

 

 すっかりこの人の本を読むことにはまっていたのだけれど、これでもう新しい小説を読むことはできないのか、と思うと、ただただ単純につらい。新しい言葉を、この人はどう発したんだろうなあ。

 

SFというのは、過去から見たもうひとつの未来、ということになるんだろうけれど、こうも今現在に近くて、この話に近付いていっている現実が見え隠れしていると、本当にゾッとする。この人に対してのゾッと、今現在生きている人間に対してのゾッ。この人はたぶん、ものすごく人間をポジティブに捉えていて、人は裏切りもするけれど信じるに値するものだ、と思っている気がする。この本を読んで、皆、人間を信じることができるか?自分を信じることができるか?