伊藤計劃「虐殺器官」

 

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

 

 はあ、なんで私は今までこの本を読んでいなかったんだろう。馬鹿だな。馬鹿なんだな、私は。でも、今、出会うべくして出会ったのかもしれない、という時期でもある。SFの、未来を見通す目、のようなものが、すごいと思うと同時に、怖いな、と思う。もう、いかなる人も読んで、怖がればいいのだ。

 

人は何故争うのか。本能より、理性や良心は勝るのか。答えは何十年後、いや何百年後に出ているのだろうか。遠くのどこかで、誰かが争っているとき、私はたしかに、安心感を抱いている気がする。

 

この人がもういないなんて、神様はいじわるというより、人間に過酷な試練をお与えになる。今のこの現実を、この人はどう見て、どう表しただろう。