トム・ジョーンズ「拳闘士の休息」

 

拳闘士の休息 (河出文庫 シ 7-1)

拳闘士の休息 (河出文庫 シ 7-1)

 

 拳闘士、というと、天才というか、才能のある人にスポットが当たるけれど、この本に出てくる人は、決して天才ではなくて、むしろ不器用で、生きることにさえ不器用で、打たれて打たれて打たれまくる。それでも、とにかく起き上がる。たとえ生きることに向いていなくても、人は生きていかなければならない。器用に生きていくことには才能が必要だけれど、とにかく生きていくことには才能はいらなくて、生命力だけが頼りなのかな、と思う。生命力に自信のない今の私には、みぞおちが痛くなる本だった。

 

読み終わるまで、短編集なのだとわからなくて、どの話がどう繋がっているんだ?どうなっているんだ?とずっと疑問に思っていたら、最後の最後の解説で短編だと知る。なんてこった。