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スティーブン・ミルハウザー「エドウィン・マルハウス」

 

 随分ゆっくりと読んでしまった。前半の、遅々として進まない、やたら細かい文章(見開き一杯に文字だらけというページがざらにある)。これを小学生が書いている、というにしては、だいぶくどい。でも、そのくどさにだんだんとやられていく。

 

子供が書いた幼なじみの子供の伝記、という体なんだけれど、これは本当に伝記と言えるんだろうか。この伝記の作者であるジェフリーは、エドウィンの観察者であろう、としているのだけれど、話が進むにしたがって、だんだん怪しくなってくる。前半ではたしかに、エドウィンをただ見ている観察者なのに、年を取るとエドウィンの人生にどんどん侵入してくる。子供だからなのか、無自覚に相手を思うように動かそうとして、結末を思い描いたとおりに迎えようとしている。ジェフリーは、エドウィンの伝記を書こうとしているのではなくて、エドウィンの人生を作ろうとしているんじゃないか、と思ったら、あまりの無邪気さにぞっとした。

 

たぶん、伝記じゃなくて、小説を書きたかったんじゃないかなあ。伝記という形をとって、エドウィンよりも素晴らしい小説を書けると思いたかったんじゃないかなあ。子供だから、無自覚に見えるけど。怖い。

 

どうでもいいけど、本を買うときに、エドウィン・マルハウスとスティーブン・ミルハウザーとどっちが題名で作者名だ、と思いながら本屋をうろつく、という思いで付きである。