今村夏子「こちらあみ子」

 

こちらあみ子 (ちくま文庫)

こちらあみ子 (ちくま文庫)

 

 とても切ない話だなあ。悲しいとか、寂しいとかではなく、切ないなんだなあ。

 

たいていの人は、自分と社会の隙間をすり合わせて、もしもズレがあっても、なくそうとしたり、ないフリをしたりする。だけど、ズレがあったって、自分のままで生きるというのは勇気のいることだなあ、と思う。自分らしくとか、個性とか、簡単に言う世の中だけれど、自分のまま生きている人が本当に現れたら、皆簡単には受け入れないんだろう。