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安部公房「壁」

 

壁 (新潮文庫)

壁 (新潮文庫)

 

 さて、連続してこの人の本を読んできたけど、これにて終了。私の中ではわりとコメディっぽい文章なのに、なんでここまで怖くなってしまうのか。悲劇と喜劇は、隣りあわせとか表裏一体というより、同質のものなんだなあ、と思う。

 

自分が自分であることが、すごく不確かに思えてくる。自分と他人の境目って何なのだろう。ヒトという名前を付けて、生まれた子供に名前を付けて、たしかに人間であると言い聞かせ、思い込んでいるだけだ。自分であることから逃げられないけれど、もしも誰も私を私だと認識してくれないとしたら、本当に私は私と言えるんだろうか。