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安部公房「箱男」

 

箱男 (新潮文庫)

箱男 (新潮文庫)

 

 これも前に読んだはずなんだけど、すっかり内容を忘れているものだなあ。というか、「砂の女」と「箱男」と「壁」が結構ごっちゃになっていたみたいだ。

 

箱男の言う「箱」は、本当はどこまでの範囲をさしていたんだろう。段ボール箱そのもののことだけを言っているようには思えなかった。最近の人たちは、箱を簡単に用意することができる。今では、インターネットが便利な箱となって、見られることなく見る、という行為を容易にすることができるんだなあ。見ることだけをしたがる人間の欲望は、際限がない。でも、見られることを放棄したら、本当に人間だって言えるのかしら。箱男として生きていく覚悟は難しいはずなのに、近頃はスイッチひとつですぐになりきれる気がする。

 

すごい小説家って、何かの恐ろしい力が働いているのか、たまに予言者みたいだなあ、と思って、怖い。