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松本隆「微熱少年」

 

 この本の感想を書くのは、なんだか難しい。昨年、風街レジェンドに1人でこっそり参加するほど、この人の言葉を好きだと思っているけれど、果たしてこの人本人のことを、私は好きなんだろうか。本人と会話をしたことはあるわけがないし、40年前のこの人のことなんて勿論知らない(生まれていなかったから、母から話を聞くくらいだ)。はっぴいえんどの音は好きだし、この人の詞は暗記するほど読んだり聞いたりしている。でも、それがこの人本人を好きだ、ということには繫がらない、と思ってしまう自分がひねくれているのかしら。この本からは、若さとちょっとした迷いが感じられるような気がする。文章にすることで、迷いを明確にしたり、自分の気持ちを明確にしていたり、たまにぶれてみたり。

 

ただ確かに言えることは、あの歌詞(誰もが持っている一番好きな歌のものでいい)を書いた瞬間のこの人のことを好きなんだ、ということ。自分が少しずつ変わっていっているのだから、この人だって変わっているにちがいなくて、だけど、あのとき聞いたあの歌のあの歌詞は、私の一生に残りつづけて、その歌詞を書いてくれた瞬間のこの人のことを愛さずにはいられない、と思う。