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熊谷達也「いつかX橋で」、村田紗耶香「星が吸う水」

 

いつかX橋で (新潮文庫)

いつかX橋で (新潮文庫)

 

 何も考えずに手に取って、この時期に戦後小説を読んでしまう、こういう本の怖さがたまにあるなあ、と思う。

 

戦中、戦後の混沌とした時期、ただ生き延びなければならないという気持ちだけが際立つ。本当にこういう人たちが実在していたんじゃないか、と思ってしまう。息をして、動いて、感情を持って生きていた人はたしかにいて、その先に自分は存在している。不思議な感じ。地名と場所を実際にわかっているから、余計に生々しく感じた。あの頃と仙台はまったく変わっていて、X橋もなくなるのだけれど、記憶はそれでも残っていけるのだろうか。

 

星が吸う水 (講談社文庫)

星が吸う水 (講談社文庫)

 

 女性の性を扱う、というのは難しいことに思う。なんというか、性欲を解消する、という点から見ると、女性が解消する場所は圧倒的に少ない。そのせいなのか、女性であることを持て余すこともあるし、女性という性をコントロールすることができないことが多い。まあ、だからといって男性がコントロールできているのか、と考えるとそういうこともないのだろうけれど、どちらかというと、男性の性欲の方が許容されているのが現状なのかなあ、とこの本を読んでいると思う。