映画「ミツバチのささやき」

ミツバチのささやき Blu-ray アナ・トレント、イザベル・テリェリア、フェルナンド・フェルナン・ゴメス Amazon 20年ほど前に一度見て、ものすごい衝撃を受けた感覚だけが残って、ストーリーをまったく覚えていない、という不思議な映画で、できればまた見た…

茨木のり子「倚りかからず」

倚りかからず (ちくま文庫) 作者:茨木 のり子 筑摩書房 Amazon 本屋に行って、棚の間をぐるぐると巡り、ただぼんやりと眺めているだけなのに、時々、今読むべき本を何故か買って帰る、ということが起きる。ものすごく不思議で、少し怖い。でも、だから、本を…

映画「枯れ葉」

昨年、好きな写真家がこの監督の作った映画館を撮りにいったというのを雑誌で見て、映画より監督のことが気になっていた。そのタイミングでの上映だったので、早速観にいってきた。 特にドラマチックでもない、大きな悲劇でも喜劇でもない、ありそうでなさそ…

末木新「「死にたい」と言われたら 自殺の心理学」

小学生の半ばくらいに祖父が亡くなってから、ずっと死ぬことについて考えるようになった。その数年後には、いろいろあって、死にたいという気持ちを持つようになっていた。そう考えると、随分長い間、死にたいと思っている。常にその気持ちが頭をいっぱいに…

能町みね子「オカマだけどOLやってます。完全版」「トロピカル性転換ツアー」

オカマだけどOLやってます。完全版 (文春文庫) 作者:能町 みね子 文藝春秋 Amazon トロピカル性転換ツアー 作者:能町みね子 文藝春秋 Amazon 今更、一気に2冊続けて読んでしまった。 前から書いているけど、私はエッセイとか日記とかをあまり読まない。なん…

丸谷才一「闊歩する漱石」

闊歩する漱石 (講談社文庫) 作者:丸谷才一 講談社 Amazon とりあえず、夏目漱石のことだけを書いて、本が1冊成り立っているのがすごい。 私はただのミーハーな夏目漱石好きだから、彼を分析しようとなんて思わず、ただただ面白いなあ、と思って読んでいるだ…

瀬川拓郎「アイヌと縄文」

アイヌと縄文 ――もうひとつの日本の歴史 (ちくま新書) 作者:瀬川拓郎 筑摩書房 Amazon 7月に北海道の礼文島に旅行に行ったのだが、その前に読もうと思っていたのに、結局帰ってきてから読み終わった。やっぱり読む前と後では印象が変わっただろうなあ、と思…

望月昭秀、田附勝「蓑虫放浪」

蓑虫放浪 作者:望月昭秀 国書刊行会 Amazon 8月に読み終わっていたのだけれど、気付いたら10月…私もどこかへ放浪していたようだ(嘘です、暑すぎてパソコンを触っていなかっただけです)。 こんな人がいたのか、と本当に初耳だった。そして同時に、こんな人…

映画「658km、陽子の旅」

映画の真ん中くらいで、突然号泣してしまった。 東京から青森までの658kmをヒッチハイクをして辿りつく、という話なのだけれど、こう書くとまるで、アクティブで前向きな人の話に見えてくるから不思議なものだ。まったくアクティブでも、前向きでもない、ほ…

川端康成「川端康成異相短篇集」

川端康成異相短篇集 (中公文庫 か 30-7) 作者:川端 康成,高原 英理 中央公論新社 Amazon この人の「掌の小説」を2、3回は読んでいるから、最初の話は何度か読んでいるはずで、読むたびに、私はこういう話が書きたいのだよな、と思う。思っては、なんとなく…

宮地尚子「傷を愛せるか」、望月昭秀「縄文人に相談だ」

だいぶ前に読み終わっていたのに、書き残しておくのを忘れていた。 ここ数か月、自分で書いた小説を読み返すということをしていたので、しばらく小説は読みたくないなあと思って(無意味に凹む可能性があるから)、手にした2冊。まったく毛色が違うように見…

北大路公子「いやよいやよも旅のうち」

読み終わるのに、随分と時間がかかってしまった。 何故かというと、ただただ旅をするわけではなく、タイトルどおり、行く先々で嫌なことをさせられる、という本だからである。私自身、嫌なことをさせられるのが、ものすごい嫌いなのだけれど、それと同じくら…

映画「コンパートメントNo.6」

映画が始まった瞬間に、わーいい映画だな、と久々に思った。色の付いた画面に文字が並んでいるだけなのに、色合いもフォントも好みなのだから、映画の内容も好きに決まっている、というその予感は当たっていた。 基本的にはずっと長距離列車に乗っている2人…

映画「美女と野獣」「詩人の血」

ジャン・コクトー映画祭なるものが上映されていて、なんとなく観にいってみることにした。自分の母親が昔に見て、いたく感動したというのを聞いていたから、どんなものなのか気になっていたのだ。いやはや、とんでもなかった。 「美女と野獣」はディズニーの…

能町みね子「うっかり鉄道」

うっかり鉄道 (幻冬舎文庫) 作者:能町みね子 幻冬舎 Amazon 私はわりと鉄道に乗るのが好きなほうだと思う。新幹線で行けるところに鈍行で行ってみたり、1つの路線の始点から終点まで乗ってみたり、そのくらいのことはする。でも、ものすごい鉄道が好きなの…

栗田有起「卵町」

([く]4-1)卵町 (ポプラ文庫) 作者:栗田有起 ポプラ社 Amazon この人の本はよく読んでいるほうかなあ、と思うのだけれど、だいぶ久しぶりに読んだら、こんな感じだったかな、とちょっと不可思議な気持ちになった。 生きていれば、失くしていくものは増えてい…

今村夏子「むらさきのスカートの女」

むらさきのスカートの女 (朝日文庫) 作者:今村 夏子 朝日新聞出版 Amazon この人のことが、ずっと気になる。はじめて読んだときに、本の中に出てくるような人たちのことを描ける人がいるんだな、と思って、すごいほっとした気がする。 そういう以前に読んだ…

黒川洋一「杜甫」

杜甫 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫) 作者:黒川 洋一 KADOKAWA Amazon だいぶ前に読み終わっていたのに、書き忘れていた。 高校の授業で習ったはずなのだけれど、当然のように記憶の彼方であった。杜甫だと思っていた詩が杜甫じゃ…

映画「秘密の森の、その向こう」

なんとなく気が向いて、映画館に行く。これを見よう、とか強く思わずに、時間がちょうどいいし、特に何の前情報もなく見た。 そうしたら、じわじわと泣けてくる映画だった。こんなことは起こり得るはずないけれど、あったらいいな、と誰でも思うんじゃないだ…

映画「掘る女 縄文人の落とし物」

映画チラシ『掘る女 縄文人の落とし物』5枚セット+おまけ最新映画チラシ3枚 ノーブランド品 Amazon あまり言ってなかったけれど、私は意外と縄文時代のものを見るのが好きだ。つまり、土器とか土偶とか、そういった類のもの。博物館にある貝塚の展示をぼーっ…

映画「スワンソング」

映画チラシ『スワンソング』5枚セット+おまけ最新映画チラシ3枚 ノーブランド品 Amazon 映画館で予告を見たときに、これを見にいこう、となることがたまにある。ということで、この映画を見にいくことにした。 細かい説明は特にない。死に近付いたり、遠のい…

映画「魂のまなざし」

ヘレン・シャルフベック 魂のまなざし 求龍堂 Amazon フィンランドの映画が上映していると知って、早速見にいく。空や海(湖かな)や森や、建物や服装、そういうものを見るだけでも、いいなあ、という気持ちになる。 そんな気持ちいい風景に反して、映画の内…

映画「大人は判ってくれない」

大人は判ってくれない/あこがれ Blu-ray ジャン=ピエール・レオ Amazon こんなに通じあえない人間同士があるのか。本当に判ってくれない。判ろうともしていないからだろうか。 一瞬近づいたかな、と思ったら、次の瞬間にはもう遠く離れていて、その日、その…

映画「マルケータ・ラザロヴァー」

MARKETA LAZAROVA Magda Vasaryova Amazon 毎月映画を見にいこう、という計画は先月体調を崩して早速挫折したのだが、また今月から始める。まあ、このくらいの気持ちでいたほうが続くであろう。と思いたい。 何かを見たり聞いたり、何かをインプットするとき…

星新一「気まぐれロボット」

きまぐれロボット (角川文庫) 作者:星 新一 KADOKAWA Amazon 最近までドラマを放送していて、やっぱり面白いよなあ、と久々に読みたくなって手に取った。今までに何冊か読んでいて、どの本を読んでいないのか、正直わからなくなっている。たぶん、これ、読ん…

彩瀬まる「朝が来るまでそばにいる」

朝が来るまでそばにいる(新潮文庫) 作者:彩瀬まる 新潮社 Amazon 前々から何度か書いているけれど、人の死が出てくる話が好きじゃない。それだけで劇的になってしまう、人の感情を揺さぶってしまう出来事だから、本当に話の中で必要で十分なものなのか、考…

あまのさくや「チェコに学ぶ「作る」の魔力」、週末北欧部 chika「マイフィンランドルーティン100」

チェコに学ぶ「作る」の魔力 作者:あまの さくや かもがわ出版 Amazon マイフィンランドルーティン100 作者:週末北欧部 chika ワニブックス Amazon 旅行したい、どこか遠くへ行きたい、という思いが溢れる、今回の本のチョイス。もういい加減、どこかへ行き…

川端康成「少年」

少年(新潮文庫) 作者:川端康成 新潮社 Amazon この年になっても、まだ新しい本が出てくる、ということがただただすごいなあ、と思って読んでしまった。 昔書いた日記や記録を、とにかくまとめました、というような本。少年という題名で、1人の少年にスポ…

映画「叫びとささやき」

叫びとささやき ≪HDリマスター版≫ [DVD] キングレコード Amazon 月一で映画を観よう、と昔思って、まあまあわりと実行していた時期があったのだけれど、パンデミックが起きてから、まったく映画に行きづらくなってしまって、ここ2年でたぶん2、3回しか映画館…

難波里奈「純喫茶コレクション」

純喫茶コレクション (河出文庫) 作者:難波里奈 河出書房新社 Amazon ブラックコーヒーを飲まないのに、喫茶店が好きだ。内装が好きとか、カップが好きとか、いろいろあるけど、そういえば、子供の頃によく喫茶店に連れていってもらっていたからかもしれない…